日々小論

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 NHKの朝ドラ「エール」に往年のミスタータイガース掛布雅之さんが出演した。「六甲おろし」をみんなで歌う場面である。掛布さんのせりふは「おおきに! おおきに!」。

 阪神・淡路大震災の関連記事で読んだ話。助け出されたものの、高齢の女性が肺炎で息を引き取った。家族へ語りかけた最後の言葉は「ようしてもうた。おおきに」。

 商いのお礼で。喜びが湧き上がって。あるいはしみじみと。大阪弁、ちょっと広げて関西弁の「おおきに」には、心を包み込むような味がある。

 先日亡くなった歌手で俳優、坂本スミ子さんの思い出を手繰ると、そこにもこの関西弁。

 出演した映画「楢山節考」がカンヌ国際映画祭で最高賞を受けた。老母を演じるために歯を削った役者魂に感服するが、表彰式の一こまがいい。大阪育ちの彼女が思わず口にしたのが「おおきに」と何かで読んだ。

 あけっぴろげで明るくて。ステージでヒット曲「たそがれの御堂筋」をじっくりと歌い上げると、一拍置いてニコッと笑い、「おおきに」。いかにも彼女らしい。

 でもこのところ、若者が使うのをあまり聞かない。なぜだろう。古くさいのだろうか。

 吉本新喜劇で活躍した俳優花紀京さんに会ったとき、若い芸人の言葉について意見を求めたら、嘆きが返ってきた。

 「ええことない。さんまやダウンタウンも『じゃかましい』とか『だまっとれ』とか。そんなに濁った言葉を使わんでも」

 なるほど、畳みかける関西弁が全盛で、ほんわか関西弁は劣勢の時代かもしれない。

 でも方言の持つ味わいをもっと大事にしたい。きっと、おスミさんもそう思っている。

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