日々小論

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 東京・葛飾に家族で住み始めた2年前のことだ。台風直撃で記録的な暴風になるという予報に、店頭から養生テープが消えたことがあった。遅くまで店を回って諦めかけた時、近所の商店街にまだ明かりのついている小さな薬屋を見つけた。

 「これを持っていきな。使いかけで、すまないね」。奥から出てきた年配の女性が手渡してくれたのは、私物だった。頼れる知り合いがいないまちで受けた親切は、心にしみた。

 程なくしてコロナ禍になり、近所付き合いはほとんどないままだ。以前は妻が、乳幼児のいるママ友の集まりに何度か参加していたが、それも開かれなくなったようだ。人づてに地域の情報を得ることは、ほぼ皆無。災害時を思うと不安が募る。葛飾区は、大規模水害が起こるとほぼ全域で浸水の恐れがある江東5区の一つでもある。

 そんな中、ありがたいものに気が付いた。「かつしかFM」というコミュニティー放送だ。コロナ関連では、地元のスーパーやドラッグストアの営業時間変更を丁寧に紹介。感染者の情報も、どこの何という店で従業員の感染が分かったとか、入院患者や職員ら100人もの感染者が出ている病院の話など、ローカルできめ細かい。

 コロナだけではない。先日の防災番組は、2018年の西日本豪雨で浸水被害に遭った岡山県倉敷市真備町地区の住民に体験談を聞いたり、水害対策の講座の案内があったりと、備えに直結させられる内容だった。

 調べてみると、開局は1997年。阪神・淡路大震災の時、情報を伝えるのにラジオが役立ったことから、設立されたのだという。26年前にまかれた種が、東京の下町に根付き、心強い味方になってくれている。

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