日々小論

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 今回の米大統領就任式で印象に残った場面は、22歳の黒人女性、アマンダ・ゴーマンさんによる詩の朗読だった。

 詩人の登場自体はさほど珍しくない。ケネディ大統領は国民的詩人のロバート・フロストを招いた。オバマ大統領も2回の就任式に、黒人の女性詩人とヒスパニック系でゲイの詩人をそれぞれ招待している。

 米社会の抱える課題と目指す未来を言葉にする役割が、招待詩人には託されている。

 バイデン大統領の夫人ジルさんが推薦したとされるゴーマンさんは、大学生で全米青年詩人賞に選ばれた気鋭の作家である。とはいえ就任式に招かれた詩人では最年少。舞台に立った表情には緊張もうかがえた。

 ところが5分半、よどみのない口調に身ぶりも交え聴衆を引きつけた。一部を紹介する。

 「奴隷の子孫で、母子家庭で育った、やせっぽちの黒人の少女」。その少女は「大統領になる夢を見ることもできる。そして気が付けば、大統領のために詩を朗読している」。

 朗読の舞台となった連邦議会は「キャピトル・ヒル」と呼ばれる。一帯はトランプ前大統領の支持者らが乱入し、死者が出た惨事の現場でもある。

 「武器(arms)を捨て、手(arms)を差し伸べ合う」「再建し、和解し、回復する」。言葉の一つ一つに、詩の題をあえて「私たちが登る丘(ヒル)」としたゴーマンさんの、共生への願いがにじむ。

 「夜明けは解き放たれて花開く。光は常にそこにある。私たちに見る勇気さえあれば。私たちに光となる勇気さえあれば」

 現状は厳しくとも、明けない夜はない。みんなで丘に登れる日もきっと来る。心に「丘」を思い描きたい。そう思った。

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