日々小論

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 森喜朗元首相の時代錯誤な女性差別発言が引き起こした大混乱のさなか、森氏と同世代の評論家田原総一朗氏がメディアの取材に語っていた。

 「森さんの家はね、完全なかかあ天下ですよ」

 元首相を擁護したつもりだろう。〈外では偉そうだけど、家庭では妻に頭が上がらない。むしろ女性上位。だから性差別者なんかじゃありません〉というメッセージに受け取れる。

 あきれて全身の力が抜けた。振り返れば、会社のお偉方とか地域の有力者とか、いわゆる社会的地位の高い男性が同じような文脈で「かかあ天下」を得々と語るのを何度も見てきた。

 「いやぁ、女房の尻に敷かれっぱなしでして」「お宅もですか。まあ家庭円満の秘訣(ひけつ)ですな」。こんな具合。その人の地位が高いほど、周囲で和やかな笑いが起きる。〈偉い人なのに親しみがわく〉などと女性に評価されることもある。

 でも私は全く笑えない。当人は無意識かもしれないが、女性を対等な存在として見ていない証拠だと思う。家で妻に言い負かされたところで自分の「優位」を疑わないだろうし、人によっては「かかあ天下を許容している俺は器が大きい」と悦に入っている節すらある。

 かかあ天下は、古くから養蚕が盛んな上州(群馬県)の名物とされる。働き者の妻を「俺のかかあは天下一」と夫が評したのが由来らしい。官民でつくる地元の団体は「現代では活躍する女性の代名詞」と説明する。

 試しに内閣府の「全国女性の参画マップ」を見てみた。議員や管理職、自治会長の女性割合など12指標のうち群馬県は全国平均以下が10を数え、二つは最下位だった。残念というか何というか…。ため息が出る。

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