日々小論

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 将棋観戦の楽しみ方が変わった。テレビ解説ではプロ棋士の予想を聞き、次の一手を想像しながら対局を眺めていたが、人工知能(AI)を使ったネット解説は様子が違う。棋士が一手を指せば瞬時にコンピューター計算された最善手が示される。

 学校のテストで言えば、問題を出された瞬間、考える間もなく答えを知らされてしまう感じだ。こうなると、興味の的は、棋士がAIの示す通りに駒を進めるどうかに移る。素人なりに先の展開を読む面白みが薄れたと感じる。

 AIの呼称は、1956年の国際学会で使われたのが最初とされる。2000年代に入り、大量のデータを使って自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」の技術で飛躍的に進歩した。現在は「第3次ブーム」らしく、車の自動運転や医療ロボットなど、生活の中で実用化が進む。その頭脳は、囲碁や将棋のトップ棋士を破るまでに進化した。

 AIは万能なのか。日本世論調査会によると、国民の多くがAIを好意的に受け止めている一方で、約3割が不安を感じているようだ。その理由は「制御困難になり危険」「人間の交流が希薄になる」「仕事が奪われる」の順に多いという。否定派は日本では少数派だが、欧米では意見が真っ二つに割れている。兵器への転用も懸念され、AIが暴走しないかと、マイナスイメージはつきまとう。

 2045年にはAIが人間の知能を上回るとの説がある。その時、人は考えることをやめるのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。昨年の将棋のタイトル戦を思い出す。藤井聡太二冠が大詰めの場面で指した一手は、AIが予想だにしない妙手だった。

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