日々小論

  • 印刷

 神戸市が今秋の市長選から、候補者名が印刷された投票用紙に丸印を付ける「記号式投票」を導入するという。先進国では記号式が主流だが、日本で根付くのは、候補者名や政党名を書く「自書式」。結果次第では、選挙制度のあり方に一石を投じることになるかもしれない。

 自書式に比べて無効票や疑問票が減り、開票作業の効率化などが期待される。東京都港区では、9年前から区長選挙に記号式を導入する。手が震えて文字がうまく書けない高齢者に「自分でできるので投票所に行く気になった」と喜ばれたそうだ。同区は有権者が丸印のスタンプを押す方法を採用している。

 地方議員や首長の選挙で、自治体が条例で定めて記号式の投票を実施できるようになったのは、半世紀も前のことだ。それでも採用する自治体が、一部にとどまるのはなぜか。

 選挙期間が短縮され、投票用紙の印刷が間に合わない-と自書式に戻した自治体もある。候補者数が多く、記号式に向かない選挙もある。現行法では記号式は当日投票のみに限られ、効果が限定的との見方もある。港区の担当者も「投票率の向上など、データ上での明確な効果は見えにくい」と明かす。

 そもそも国政選挙が自書式のままだ。1994年の法改正で記号式が採用されたが、一度も実施されずに翌年、自書式に戻された。「有権者に名前を書いてもらうことが政治家の財産」という声が根強かったという。候補者の名が羅列される記号式より、知名度のある現職には自書式が有利とも言われている。

 自書式は、誰のための投票方法なのか。取り組みが停滞する電子投票の導入も含め、より多くの有権者が投票しやすい手法についての議論が必要だ。

日々小論の最新
もっと見る

天気(5月15日)

  • 25℃
  • 19℃
  • 70%

  • 29℃
  • 16℃
  • 60%

  • 27℃
  • 19℃
  • 50%

  • 29℃
  • 18℃
  • 60%

お知らせ