日々小論

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 10年たったけれど

 東日本大震災から10年を伝える3月11日付夕刊1面の見出しは、被災地の人々の気持ちを伝える言葉だった。

 この前後の紙面には、言葉通り、胸の痛む数字が並んだ。被災自治体の9割で震災前より人口が減少している。津波に遭った宮城県女川町では43%、南三陸町で37%も減った。住民がこうも流出しては、コミュニティーやにぎわいの再生は遠のく。

 被災地では、巨額の国費が投じられ防潮堤や道路が完成した。2019年度までの復興予算は30兆円超に上り、17兆円以上はハード整備に充てられた。

 心のケアや地域コミュニティーの再生などソフト面は1割も満たない。人がいなくなった街に、コンクリートのインフラ整備が着々と進む光景が浮かぶ。

 阪神・淡路から10年のころはどうだっただろう。05年当時の新聞を開いてみた。

 人口はようやく震災前に戻り、1%上回った。「信じられない速さ」と称賛されたが、区画整理事業区域全体でみると80%。神戸市長田区のある地区の回復率は43%止まり。事業完了後も駐車場や更地が目立った。

 復興で念頭に置いておかなくてはならないのは、人口減という重い課題だ。私たちは、阪神・淡路で16兆円も投じた復興事業は「ハード偏重」だと、繰り返し批判した。再開発や区画整理は、人が増え、経済が伸びる時代の手法。税金を注ぎ込んで住む場所をつくっても、そこに人がいなければ、負担を強いる要因になる。

 悔しいが、「復興災害」の教訓は東日本にも当てはまる。このままだと、次の被災地はさらに苦しみが増す。縮む社会に見合った復興事業の設計に、早く着手しなければならない。

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