日々小論

  • 印刷

 つけっぱなしのラジオから、「友よ」という曲名が聞こえた。同時に「三陸鉄道」という会社名も耳に入った。

 3月14日に放送されたNHKFMの「今日は一日 東北のうた三昧(ざんまい)」という番組である。東日本大震災の被災者を励ました歌が次々と流れる中に、この懐かしい曲があった。

 「友よ」は岡林信康さんが歌った。話題になったのは学生運動が激しかったころだから、初めて聞いてからずいぶんたつ。

 ♪友よ 夜明け前の闇の中で

 と始まり、夜明けは近い、闇の向こうに輝く明日がある、君の涙や汗が報われる日がくる…と続く。

 その歌が、なぜ被災地とつながったのだろう。

 三陸鉄道に尋ねて理由が分かった。この曲をリクエストしたのは、社長の中村一郎さんだった。岩手県庁の局長時代に大震災と向き合った中村さんは、電話口でこう話した。

 -被災後、激務の続く職場は疲れ切っていた。2週間ほどたったころ、少しでも元気にしたくて、みんなに送ったメールに「友よ」の歌詞を添付したことがあったんです。がんばろう、闇の向こうに明るい明日が見えてくるから。そんなメッセージとして。

 中村さんは1955(昭和30)年生まれという。世代は違っても、歌詞がずっと心の中にあったそうだ。

 いつまでも人々が口ずさむ歌は、歌詞に力がある。年齢や立場とは関係なく、聞く人の心を温める力が一つ一つの言葉に宿る。たまたま耳に届いた話、「友よ」にまつわるささやかな物語にそう教わる。

 サウンド栄え、言葉衰える。そう言われて久しい。何十年も生きる歌詞、もっと出てこい。

日々小論の最新
もっと見る

天気(5月13日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 10%

  • 25℃
  • ---℃
  • 10%

  • 24℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ