日々小論

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 聖徳太子(厩戸皇子(うまやどのおうじ))が制定した十七条憲法の第1条はあまりにも有名だ。「和をもって貴しとなす」。権力争いの暗闘が続いた当時、この言葉はどれほど輝いたか。その精神を踏みにじるような事態が、皇子ゆかりの兵庫県太子町で続いている。

 3月25日、太子町議会は副町長の人事案を不同意とした。前副町長が任期を1年残して退任するため、服部千秋町長は県OBを後任に据えようとしたが、反対が3票上回った。さらに同じ日、教育長も議場で発言を求め、今秋の任期を待たずに辞任する考えを表明。その場で異例の町長批判を展開した。

 町職員の早期退職も相次いでいる。3年連続で10人以上が庁舎を去った。職員数が200人に満たない町としては異常な多さだ。その結果、管理職のなり手が不足し、町側は県に職員派遣を求めざるを得なくなった。

 関係者の多くは、町長の資質を疑問視する。辞任を表明した教育長は、学校での熱中症対策にかかる費用を事前協議なしにカットしたとして「町長との信頼関係が崩れた」と憤る。副町長人事に賛成した議員も「反対討論を真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と苦言を呈した。

 なぜここまで事態が悪化したのか。すべてを町長のせいにするつもりはないが、異なる意見に耳を貸さないという批判を、多くの関係者が口にする。人口3万4千人の自治体のトップである。もし異論の持ち主であったとしても、むしろ積極的に聞こうとする姿勢が必要ではないか。

 聖徳太子は「豊聡耳皇子(とよさとみみおうじ)」とも呼ばれ、10人の陳情を一度に聞き分けたという。耳を傾ける太子の姿勢にならうことはできないだろうか。町民のために。議会側の努力も求めたい。

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