日々小論

  • 印刷

 「復興五輪」を掲げ福島県を出発した東京五輪の聖火リレーだが、1枚の写真を前に深く考えさせられた。ランナーの姿は見えず、スポンサーの巨大な宣伝用改造車が行く手をふさぐ。どうしたって「商業主義」という言葉が浮かぶ。

 先頭を走るのは真っ赤な車体の日本コカ・コーラ。続いてトヨタ自動車、日本生命、NTTグループ。聖火リレーのスポンサー最上位4社だという。

 ネットで動画を見る。大音量の音楽が流れ、DJが「踊って楽しみましょう!」と叫んでいる。警備車両などが何台も連なり、ようやく聖火が見えた。

 五輪が商業主義に大きくかじを切ったのが1984年のロサンゼルス大会。76年モントリオール大会が大赤字で、84年開催に手を挙げたのはロスだけ。大会組織委員長のピーター・ユベロス氏が放映権料やスポンサー収入などで黒字に転換させた。

 まだ40代だった彼は、一代で築き上げた旅行会社を売却し、組織委員長の職に専念したという。今回の東京大会も、その「商業主義」を受け継ぐが、彼が経費を削減しつつ、大衆の支持を求めたことまでは記憶されているだろうか。

 東京の開閉会式演出の統括を任されたのは大手広告会社OBだった。「商業主義」の表現者として期待されたのだろう。だが女性芸人をブタになぞらえた演出案が批判を浴び、辞任に追い込まれた。聞けば、リオ大会の閉会式で当時の安倍晋三首相をスーパーマリオに化けさせたのも、携帯電話の人気CMでお父さんを犬にしたのも彼。

 国内ではウケたかもしれないが、海外から見れば内輪のイジリだ。見た目で笑いを取る。それは商業主義の日本的な負の側面でしかない。

日々小論の最新
もっと見る

天気(5月15日)

  • 25℃
  • 19℃
  • 70%

  • 29℃
  • 16℃
  • 60%

  • 27℃
  • 19℃
  • 50%

  • 29℃
  • 18℃
  • 60%

お知らせ