日々小論

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 お会いしたことはない。でも、この方に教えられたことはたくさんある。

 中国文学者の高島俊男さんである。相生市の出身で、このほど84歳で亡くなった。

 中国文学と聞くと、難しそうでちょっと構える。四半世紀ほど前、週刊文春のエッセー「お言葉ですが…」が目にとまり、よく読むようになった。日本語を洒脱(しゃだつ)に、それでいて辛口に読み解く。痛快だった。

 「キライなことば勢揃(せいぞろ)い」というのが印象に残る。耳障りな言い回しを読者から募ったら、たくさん集まったそうだ。以下、不人気ベスト5。

 (1)させていただきます(2)じゃないですか(3)あげる(4)いやす、あるいは、いやし(5)な

 (3)は〇〇してあげるという言い方。(5)は「やさしく見守ってやりたいな、と思います」などの「な」。

 高島さんはその一つ一つにうなずき、持論をはさむ。「ことばに対する感覚がにぶい」「気色わるい」と手厳しい。同感。

 最近の話ではない。掲載は1999年の秋である。耳障りといわれても、言葉は生きる。

 (1)の「させていただきます」などは、大手を振って国会を歩いている。質疑で問う側も答える方も、なにかにつけ「させていただきます」とへりくだる。政治家は言葉が命なのに、なんと感性の乏しいことか。

 こちらの感性も鈍いが、少しは注意深く日本語を選ぶようになった。そうそう、高島さんは料理店で「ライスですかパンですか」と問われたら「ご飯」と返した。日本語を大事にするからだが、これもときにまねる。

 と、仰ぎながら麓をぐるぐる回っただけの教え子である。訃報にただ、目を閉じ、忘れられないくだりをかみしめるだけ。

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