日々小論

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 3月半ば、旅は山梨県のJR中央線小淵沢駅から始まった。バスで南アルプスの麓、標高約700メートルにあるサントリー白州蒸溜所を目指す。

 外は雨、気温は5度という。館内へ初めて入る。発酵して泡立つ木製桶(おけ)の中をのぞき込み、銅釜の蒸留工程を経て、木樽(きだる)が整然と並ぶ貯蔵庫を見学。「次はお楽しみの試飲です」との案内に心が躍る。

 実は、オンラインのライブツアーだ。手に入りにくくなったウイスキー白州の小瓶と非売品の試飲グラスは、事前に自宅へ届いていた。画面の案内でグラスに注ぐ。ツアーは1時間の予定を10分近く超えた。クイズあり、質疑ありで堪能した。

 リアルな見学は新型コロナ禍で中断を余儀なくされている。若手社員らが今回の企画を発案し、2月から始めた。参加費は3300円。大阪の山崎蒸溜所版もある。2、3月は完売し、今も予約は好調だそうだ。

 オンラインは「新たな日常」の中で急速に広がった。感染防止には効果がある。こうしたツアー以外にも、長期病欠で学校に通えない子どもがオンラインで授業に参加し、級友と交流するといった活用例も聞く。

 ただ、在宅勤務は労働時間が長くなる傾向が指摘される。「お互いが分かりにくくなった」など職場のコミュニケーション不足は、経営上の大きな課題だ。経費の削減や拠点集約の理由にも都合よく使われる。

 蒸留所ツアーの企画担当の言葉が印象的だ。「オンラインにしかできない体験を」。360度の映像やチャットでの気軽な質疑、参加者同士の交流など工夫がみられた。森の香りを味わいたいとも思うが、現実の単なる置き換えではないところに妙味がありそうだ。

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