日々小論

  • 印刷

 新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっている。従来型より感染力が強く、重症になるまでの日数が短いとされる。

 これまでのやり方では対処し切れない、新たな“難敵”の出現と捉えるべきだろう。

 兵庫県は2カ月ほど前に緊急事態宣言が解除されたばかりなのに、3度目の発令となった。赤信号が黄色の点滅に変わったと思ったら、また赤信号が点灯した。それもより強力に。

 もともと日本の医療体制は、集中治療室の設置水準で他国に見劣りするなど、重症者急増に耐えられない「脆弱(ぜいじゃく)性」があると、日本医師会の研究チームが指摘していた。医療崩壊が叫ばれる現状を見ると、まさにその弱点を突かれた形だ。

 変異型の感染力が想定を超えていたのだろうが、「少し強いインフルエンザ」などと高をくくった一部の言動が気の緩みにつながった側面も否めない。

 ウイルスは、手に負えないほど急激に増えることがある。しかし何かが増える場合、直線を引くように同じ量だけ積み上がっていくと、単純に考える傾向が人間にはあるという。

 自然界はそのようにはできていない。分かっていても「この反応は自分でもどうにもならないほどに強い」。数学者でもあるイタリアの作家パオロ・ジョルダーノ氏は著書「コロナの時代の僕ら」でそう述懐する。

 イタリアでも、人間はウイルス拡大に翻弄(ほんろう)され続けた。

 逆境の中で希望は人を支えるが、「最善を望むことが必ずしも正しい希望の持ち方とは限らない」とも氏は書いている。実現性の低い未来はたび重なる失望につながるからだ、と。

 敵は手ごわい。今は「正しく恐れる」の「恐れる」に、心の重点を置く時ではないか。

日々小論の最新
もっと見る

天気(6月14日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 30%

  • 27℃
  • ---℃
  • 30%

  • 27℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ