日々小論

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 数十年前の駆け出しのころ、先輩記者たちの、いかにも昭和チックな“武勇伝”をよく聞かされた。その一つが「Aさんは記者クラブで竹刀を持ち歩いていて、そりゃあ怖かった」というものだ。

 竹刀には「制裁」や「しごき」のイメージがあり、通っていた中学では生徒指導の教員が竹刀で生徒を威嚇していた。思い切ってAさんに真偽を尋ねたら、「昔の話や…」とばつが悪そうだったのを覚えている。

 さて今年3月。本紙社会面に「空手五輪代表、パワハラ被害訴え 『竹刀で顔突かれた』」との見出しが載った。

 東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩選手が、全日本空手道連盟の選手強化委員長(ちなみに男性)から、練習中に竹刀で顔面を突かれるなどして目を負傷したというのだ。

 連盟の調査報告書によると、強化委員長は手足の長い外国人選手との対戦に備える名目で、竹刀を使った練習をしていた。植草選手は防具を着けておらず、竹刀の先端が左目近くに当たった。強化委員長は「女子選手に直接触れないように竹刀で指示することがあった」と取材に語っている。

 令和になっても、トップレベルの現場でこんな指導がまかり通っていたのかと心底驚いた。連盟は「竹刀を用いた練習は認められない。不適当行為」と強化委員長を解任したが、パワハラは認定しなかった。東京五輪が迫る中でさらなる調査よりも現場の混乱収拾を優先させた-との説明にはさらに驚いた。

 五輪憲章は「スポーツをすることは人権の一つ」とうたっている。連盟の対応は本末転倒ではないか。この件に限らず、五輪を開くのが何より大事という姿勢には違和感しかない。

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