日々小論

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 「今年に入って普通に営業できたのはたった8日やで」

 西宮で25年間、バーカウンターから人と街を見続けてきた男性が、深いため息をついた。

 彼は私の小学校の同級生。この1年余り、新型コロナウイルスの影響で、彼が営むバーは休業、時短を繰り返してきた。

 休業中は警備員のアルバイトなどをして耐えてきた。3度目の緊急事態宣言は、そんな彼らにアルコールの提供を事実上禁じる厳しい内容となった。

 感染防止策として、店の客席に間仕切りを設け、客の人数も制限し、消毒や換気を徹底してきた。なのに、また休業とは。“禁酒令”へのやりきれぬ思いの底には、自分自身が否定されたような感覚があるのだろう。

 「協力金が入るから『コロナ太り』とか中傷されてね。今後の営業への不安からストックして備えようとしてるのに」

 バーや飲食店には瑕疵(かし)はあるまい。しかし、こうしてやゆされる協力金でさえも、いまだに多くの飲食店で支払われていないのが現実だ。キャッシュフローは店に欠かせず、入金が数カ月も先になってしまうのは死活問題であるにもかかわらず。

 夜の街でお酒を飲む。この習慣そのものが「悪」であるかのような空気も感じるという。

 「店は人と人とが交わる場。カウンターに立って、仕事をするのがほんまに幸せ。店は開けてなんぼなんです」

 店を閉めた同業者も少なくない。このままでは、コロナ禍が収束したとしても、街の風景は一変しているかもしれない。

 「手厚く、早く、補償を」。悲鳴や怒りは宣言を前にかき消されがちだ。国や自治体の要請に応じ、まじめに休業や時短、感染対策をしている店が損をするのはやっぱりおかしい。

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