日々小論

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が今月末まで延長されることになった。気になるのは、世の中に漂う「仕方ないよね」のムードだ。

 後手に回る感染防止策や支援策の不備のために、休業や時短営業などで苦境に陥る事業者、仕事を失い困窮する非正規労働者、在宅勤務や外出自粛で孤立を深める人、DVや虐待から逃げ場をなくす人がいる。

 緊急事態の名の下に、宣言がもたらす影響の深刻さと、支える仕組みの乏しさが軽視されていないだろうか。

 1年前、最初の宣言が出た時は営業の自由や個人の権利に対する制限に慎重さを求める声がまずあったように思う。宣言のかいもなく感染が拡大するにつれ、より厳しい縛りや罰則を伴う強制力を求める意見が当たり前のように語られ始めた。

 東京都は今回の宣言下、どんな呼びかけがあれば外出を控えようと思うかを繁華街で若者480人に聞いた。多かったのは「絶対に外出するな」などと、より強く、はっきり禁止してほしいとの意見だったという。

 政府や自治体の対応がまずいほど規制強化を求める声が高まり、行政の権限が増す。奇妙な連鎖の先に、自分で考えて行動する自由と権利を、信頼に値しない為政者に委ねる国を想像してしまう。とても笑えない。

 政府の対応力不足を棚に上げ、自民党の改憲案にある「緊急事態条項」の必要性を訴える言説も後を絶たない。憲法を改正して内閣に強大な権限を幅広く認める規定で、コロナ対策の宣言とは別物だ。あえて今持ち出すのは、国民の耳が「緊急事態」の言葉に慣れた状況を改憲の糸口にする狙いだろうか。

 緊急事態に慣れたりしない、と自分に言い聞かせる。

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