日々小論

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 とうとう、あの「お方」が去るときがきた。

 淡路島北部の東海岸に東を向いて立つ「世界平和大観音像」である。1983年にオープンし、高さは約100メートル。6月から解体工事が始まり、来年2月ごろに撤去が完了するという。

 所有者不在となっておよそ15年。今は国が所有する。外壁の一部が落下して観音像の腰の辺りに穴が開くなど、劣化が進んでいた。周辺住民の不安の種だった「空き家問題」ならぬ「空き観音問題」に終止符が打たれることになる。

 初めて見たのは30年前。新人記者として淡路島に赴任した私は、取材に行く途中、東浦町(現淡路市)でこの白い巨像に驚き、車を止めた。何とも言えない大ざっぱな造形。なぜか手前に自由の女神像が立っていた。

 その少し前、島内にあった「秘宝館」(と確か呼ばれていた)の写真を目にする機会があり、昭和の残影を見る思いがした。それと似た戸惑いを、巨大観音にも感じた。淡路島には2年半住んだが、像の展望台には登らずじまいだった。

 観音像は大阪湾を望む高台にあり、敷地は1・9ヘクタールと広大だ。解体後、地元自治体などに取得の意向がなければ入札で売却される。淡路市の門康彦市長は「景色もいいし、地域にとっては宝物といえる場所だが、うちのような小さな自治体が独自で再利用するのは簡単ではない」と話す。

 疫病をはらうといわれる十一面観音像がコロナ禍で注目されていることもあり、今回の撤去決定を寂しく思う愛好家もいるようだ。数年後、観音像の跡地はどうなっているだろう。パンデミック(世界的大流行)も果たして過去のことになっているだろうか。

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