日々小論

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 住所、氏名、生年月日、メールアドレス…。自分の個人情報がインターネット空間を通じてどれほどの企業に保存されているのだろう。生活に欠かせぬネットサービスを使うためとはいえ、どこかから漏れて悪用されないか不安がぬぐいきれない。

 個人情報保護や不正行為防止のため、米グーグルやフェイスブック、ヤフーなどの巨大IT企業に対する規制が国内外で進んでいる。しかし技術革新がすさまじいネットの世界で、漏れのない法的規制は難しいのではないか。では圧倒的な影響力を持つIT企業の責任範囲を、どうとらえればいいのか。悩ましい問題だが、恩師の著書にヒントがあったので紹介したい。

 國部克彦・神戸大大学院教授の著書「アカウンタビリティから経営倫理へ 経済を超えるために」。現代社会を人間が支配される「経済中心の時代」ととらえ、「人間中心の時代」へ転換するために、哲学理論を用いて会計学の再構築を試みている。

 注目したのは「無限の責任」論。法律上の責任が無限となるわけではない。國部氏は、企業のアカウンタビリティー(説明責任)は範囲が有限のために責任が限定され、だれも責任を負わない領域が拡大するとの課題を指摘し、他者への無限の責任を意識して実践する必要性を説く。その根拠に、公共性・責任・正義の哲学を挙げる。

 グローバル化が著しく進み、国単位の規制では企業活動を制御しきれない。デジタル経済ではなおさらだ。生活の隅々にまで浸透するネットサービスで、中心的存在であるプラットフォーム事業者の社会的責任は極めて重い。正義に基づく経営倫理を持ち、規制の目の届かない範囲でも安心できるネット空間づくりを模索してもらいたい。

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