日々小論

  • 印刷

 「小泉旋風」が巻き起こったのは今から20年前のことだ。

 「改革なくして成長なし」。髪を振り乱して叫ぶ小泉純一郎首相の姿は、それまでの政治家とは違う清新な雰囲気を醸し出した。世論は喝采を送り、内閣支持率は空前の8割に達した。

 そんな熱気の中で迎えた2001年7月の参院選。兵庫では知事選とのダブル選となった。小泉氏が全国遊説のスタートの地に選んだのは神戸だった。

 私も取材したが、大丸神戸店前は車道も人、人、人で埋め尽くされ、バスが立ち往生した。小泉氏が姿を見せると、「純ちゃーん」とアイドル並みの声援が飛んだ。演説自体は改革アピールに終始し中身は乏しかったが、聴衆の視線は熱かった。

 参院選は圧勝だった。「自民党をぶっ壊す」と叫んで総理総裁になった小泉氏が、結果として自民党を救ったのである。

 その後、小泉政権は5年余り続く。小泉氏はあえて波風を立てるように世論を喚起し、それをてこに政治を動かした。

 持論の郵政民営化を問うために衆院解散に踏み切り、造反組には「刺客」を送り込んだ。世論を味方に自らの存在感を誇示し、選挙のみならず、党内の政争や政局を乗り切ってきた。世論の力を本格的に活用した最初の政治家ではなかったか。

 そんな小泉氏の「罪」は、白か黒か、敵か味方か、物事を単純な二元論で分ける風潮をつくってしまったことだと思う。

 そして、今。「1強」の看板が通じないコロナ禍に迷走する政治の姿に、「小泉流」の限界をみる。危機の時代に二者択一を迫る政治は機能しない。少数意見も大切に、熟議によって合意を探る。間違ったら柔軟に修正する。「ぶっ壊した」ものを取り戻す好機ではないか。

日々小論の最新
もっと見る
 

天気(9月28日)

  • 27℃
  • 23℃
  • 20%

  • 27℃
  • 20℃
  • 20%

  • 27℃
  • 21℃
  • 20%

  • 27℃
  • 21℃
  • 20%

お知らせ