日々小論

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 神戸市垂水区の山陽電鉄西舞子駅近くに、小さなアトリエがある。三十数年前から、この地で子どもたちに造形や絵画を教えてきた赤堀富子さん(69)が主宰する「あとりえ・クルレ」。平日は学校から帰った子どもたちがやってくる。約40人のうち半数以上には自閉症や発達障害などの障害がある。

 障害のある子もそうでない子も、同じ空間で表現活動を楽しむ-。それが赤堀さんの一貫した方針だ。教室を開く傍ら大学院で臨床心理学を学び、公認心理師や認定描画療法士の資格を取得した。障害を特別視しない環境で、それぞれの個性を伸ばすことを大切にしてきた。

 ただ、それ故の悩みもあるという。放課後に障害のある子どもを受け入れる場として、国は2012年に「放課後等デイサービス」制度を導入したが、健常児や子どもの頃から通う成人した生徒もいるクルレは対象外で補助金はない。月謝だけでは障害の特性に応じた指導の人件費などを賄い切れず、活動の継続に苦心する。

 同制度では、利用者の負担は1割で済むため、導入直後、クルレの障害のある生徒数は激減した。健常児と障害児を別室に分けるなどすれば、障害児の活動は放課後等デイサービスとして認められる可能性はある。だが、赤堀さんは「それでは意味がない。国が掲げる(障害の有無で区別しない)『インクルーシブ教育』とは何なのでしょうか」と疑問を投げかける。

 「一緒に学ぶ」ことが、学校以外でどれだけ広がっているだろうか。各自治体は近年、放課後の子どもたちを地域全体で支えようと、居場所づくりに力を入れる。「地域共生」を目指すのであれば、各地に根付く活動を幅広く下支えしてほしい。

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