日々小論

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 「差し控える」を辞書で引けば「度を越さないように気をつける」とある。

 相手と自分の関係や立場などをおもんぱかる。本来は大人の心配りを意味する言葉だろう。

 この言葉をよく使う菅義偉首相は、誰に対し、何をおもんぱかっているのか。なすべきこと、なしていいことを「差し控える」のなら、納得できる説明があってしかるべきだ。

 しかし首相は多くを語らない。「壊れたレコード」と皮肉られながら、昨年秋の衆参予算委員会では、日本学術会議の任命拒否の理由や、「桜を見る会」を巡る官房長官時代の答弁との整合性を問われても、「差し控える」「答える立場にない」などと67回も繰り返した。便利と思ったのか、他の大臣や官僚も同じような言葉を乱発する。

 「説明回避だ」と批判するのはたいてい野党の政治家か報道関係者である。与党議員は冷ややかに見ていたのだろうが、実は自分たちも無縁ではない。

 衆院情報監視審査会が先日、特定秘密保護法の運用に関する年次報告書をまとめた。政府が情報隠しなどの乱用をしていないか点検する役割で、委員8人中6人を占める自民、公明党議員は、大半が大臣経験者だ。

 その場でも官僚らは答えたくない質問に「答弁は差し控える」と繰り返した。業を煮やした審査会がついに「対応を改めよ」とくぎを刺したのである。

 元文部科学相の松野博一会長(自民党)は「審査会の存在意義に関わる問題につながりかねない」と憤っている。

 ならば今後は与野党を超えて国会全体で首相や他の大臣、官僚らを問い詰めてほしい。誰に対し、何をおもんぱかっているのか、と。結局は主権者の国民が袖にされているのだから。

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