日々小論

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 「慰霊の日」に合わせ、元沖縄県知事翁長雄志(おながたけし)さんの「戦う民意」を読み返した。仕事の8、9割は基地の問題という翁長さんは、出会った政治家たちの素顔にも触れている。これがなかなか興味深い。

 あるとき、自民党総裁室を訪ねた。面会待ちは長い列で1人5分しかない。しかも「沖縄さん、後ろに」と最後尾へ。やっと順番が来たら、部屋の主(あるじ)は

 「沖縄を5分ですますわけにはいかないからね。最後に回ってもらったよ。最終便、大丈夫かな」

 それから話が1時間に及んだ相手は、橋本龍太郎さん。

 雑談の中で、こんなことを不意に言った人がいる。

 「俺はな、沖縄に行かないことにしているんだ」

 何かいやなことがあったかと思ったが、違う。

 「沖縄の県民に申しわけなくてな。俺は顔をまっすぐ見られないんだよ」

 涙声で話したのは、元官房長官、後藤田正晴さん。

 翁長さんの言葉を借りれば、「対話ができる政治家」は沖縄のつらい歴史を知る世代に多かったという。知事の要望が実ったかどうかはともかく、少なくとも会って沖縄の声を聞こうとした。

 恥ずかしながら、沖縄の歴史をどこまで知っているかと問われたら返事に窮する。その情けなさは棚に上げて、ちょっと心配する。政界のリーダーたちが代替わりしていったら…と。

 そうそう、実際にこんな方も。翁長さんが苦難の日々を伝えようとしたら

 「戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困りますよ」

 会ったときは官房長官。現首相である。

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