日々小論

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 「夢かもめ」の愛称で親しまれる神戸市営地下鉄海岸線(新長田-三宮・花時計前)が、7日で開業20周年を迎える。

 その名の通り、海沿いの市南部の活性化につながる役割が期待されてきた。総事業費約2400億円を投じた一大プロジェクトが「成人」に達するのは、本来なら喜ばしい話題であるはずが、どうも居心地が悪い。

 それもそのはず、乗客数は1日約5万1400人(2019年)と、開業当初の予測を大幅に下回る。単年度の赤字幅は縮小傾向にあるものの、累積赤字は1千億円に膨らんでいる。

 建設費の償還や減価償却費どころか運行のランニングコストすら賄えない経営状況が続く。18年には、久元喜造神戸市長が大学院生向けの講義で「政策の失敗としか言いようがない」と評し、話題になったほどだ。

 手をこまねいていたわけではない。ノエビアスタジアム神戸への主力交通機関としての役割を担い、中央卸売市場跡地への大型商業施設の誘致、新長田駅南再開発地区への兵庫県と神戸市の合同庁舎建設など、需要喚起を図ってきた。

 4年前からは子育て世代の定住を促そうと、中学生以下の運賃無料という全国でも例のない社会実験にも取り組む。

 人口減少が進み、コロナ禍も影を落とす。鉄道を収支だけで評価するのではなく、人々の移動を支え、社会的な活動を支える「都市の装置=インフラ」として捉える。その理解を多くの人から得る必要がある。

 インフラゆえに行政は税を投入する。「夢かもめ」に課せられた使命は沿線を刺激し、支え続けること。黒字化への唯一の道でもある。その意味では、地下鉄と地域が融合したまちづくりは遠くハタチに及ばない。

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