日々小論

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 福島県男女共生センターの千葉悦子館長は就任から10年、東日本大震災と福島第1原発事故からの復興と共に歩んできた。

 大阪市立男女共同参画センター中央館が先月企画したトークライブに2年ぶりにオンラインで登場した千葉さんは、「まだまだ厳しい現状を伝えきれていない」と表情を曇らせた。

 避難指示が解除された区域への住民の帰還は頭打ちとなり、各町などの意向調査に対し「まだ判断がつかない」との回答が2割前後ある。現役世代の3割近くが無職で生活再建に支障を来している-。現状報告からは、政府が掲げる「復興創生」に取り残される人々のため息が聞こえてくるようだった。

 だからこそ、福島の再生に奮闘する女性たちの言葉に希望を託したくなる。ライブに参加した元浪江町職員石井絹江さんは移住先の福島市から町に通いエゴマの特産化に取り組む。「帰れない人のためにも古里を残したい。私にできるのは、ここで安全な食べ物をつくること」

 新潟県中越地震を経験した北村育美さんは大震災後、福島に移住して被災者支援に携わる。「誰もが自分の選択は正しかったと思えるような手助けを」

 ばらばらになった人々の気持ちをつなぎ直し、新たな地域の価値を探す活動は、社会の弱点を突いてくる災害や人口減少の波から地域を守り、持続可能な未来を描くヒントにもなる。

 だが「妨げる力も強まっている」と千葉さんは懸念する。「脱炭素」の掛け声の裏で原発利用の動きが勢いを増し、避難者の迷いは「復興創生期間」の終了とともに封じられかねない。

 失われつつある「古里」のために今、自分にできることは何か。未来から厳しく問われているような気がする。

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