日々小論

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 大リーガーの大谷翔平選手が本塁打を放ったあと、現地の実況が「ビースト!」と叫ぶのをテレビで聞いた。訳すれば、日本球界でよく言われるところの「怪物」である。

 「平成の怪物」松坂大輔投手が今季限りで引退するという。ニュースに触れ、プロ野球選手の異名について考えた。

 「ミスター」「神様、仏様」「アニキ」「番長」「大魔神」「鉄人」など、その多くは球界で積み上げてきた実績や人物評に由来しているが、「怪物」は違う。高校生離れ、あるいは規格外。そんな大物ルーキーに与えられる称号だろう。

 それゆえに期待通りの活躍をして「怪物」と呼ばれたまま現役生活を締めくくる選手は恐らく一握りにすぎない。松坂投手はその筆頭に位置しよう。

 忘れてはならない人がいた。1987(昭和62)年、本紙はその投手の引退を「去る怪物」の見出しで報じている。

 高校3年、夏の栃木県大会では5試合中3試合でノーヒットノーラン。剛速球ぶりは天下に聞こえ、甲子園では相手打者がバットに当てただけで客席がどよめいたとか。耳の大きい主人公が出てくる、人気の漫画から「怪物くん」とも呼ばれた。江川卓さんである。

 大学を出て、騒動の末に巨人入りし、わずか9年の現役生活で135勝を挙げている。引退の年も痛めた肩の治療を受けながら13勝したが、優勝争いのシーズン終盤、渾身(こんしん)の投球をサヨナラ本塁打された。人目をはばからず涙したシーンは今も語り継がれる。

 本塁打された球を「近年で一番いいピッチングだった」と引退会見で述べた江川さん。時は巡り、マウンドを去る「平成の怪物」は何を語るだろう。

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