日々小論

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 東京五輪まで2週間を切ったある日、東京・新宿にあるオリンピックスタジアム(国立競技場)の周辺を歩いた。「TOKYO2020」の看板が掲げられ、関係者の姿もちらほら。熱狂の渦に包まれる五輪の17日間を前に、本来ならスタジアムには期待感やそわそわした空気が漂うはずだが、訪れる人は少なく、静かに開幕を待つ。

 五輪の開催が決まった時には「ボランティアはできないか」「1競技でも生で見たい」と、バレーボールや柔道などのチケットを申し込んだ。1枚も当たらなかったが、偶然東京勤務になり、胸がときめいた。

 だが現実は厳しい。飲食店や大規模店の営業自粛といった大きな代償を払っても新型コロナウイルスの感染を止められず、東京は4度目の緊急事態宣言下に入った。政府のワクチン接種計画も遅れた。

 「国民の命を守る」「安全安心な大会を」と言いつつ具体策を語らぬ政権。五輪自体が政局となり、選手や国民の気持ちを置き去りにしたまま開催ありきで突き進んだ。延期や中止を訴える声は根強く、開催を素直に喜べない状況が続く。

 神戸新聞東京支社前の公道は聖火ランナーが走る予定だった。リレーがかなわず、トーチキスに参加した元オリンピアンや病を克服した人たちは、それぞれ熱い思いをつなぐ。

 ある地方紙の記者は、無観客であっても「この時期に東京にいる以上、頑張る地元選手を応援したい」と語った。

 昨春以来、感染症にまつわる歴史的な出来事を記録したいと考えてきた。コロナ禍でも自らを鍛え、この日のために技を磨いてきたアスリートの活躍を伝えることが今、私たちにできることだと思う。

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