日々小論

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 「地方自治に政治はない。あるのは行政だ」

 兵庫県副知事を経て姫路市長を3期務めた故戸谷松司氏は、市長在職時に語っていた。

 いわく、与党と野党が政権を競う国政と異なり、政党色の強い争いはふさわしくない。いわく、地方自治の責務は地域を良くすること。右も左もない。

 それが地方の行政マンとしての矜持(きょうじ)だったのだろう。

 だが、戸谷氏も選挙では各政党の支持を取り付け、経済界や労働団体、住民団体などから幅広い後押しを受けた。相乗り体制で「政治」に気を配る必要がさほどなかったとも言える。

 姫路文学館などの施設を次々に建設し、JR姫路駅周辺整備にも着手した。税収も今より豊かで、自身が考える「行政」に専念できる条件に恵まれた。

 次の県知事に就任する斎藤元彦氏には、そのような条件は望めない。分裂選挙がしこりを残す中での船出となりそうだ。

 社会学者マックス・ウェーバーによると、政治とは権力の分け前にあずかり、配分に影響を及ぼそうとする行為である。

 やはり国や地方で行政マンとして歩んだ斎藤氏は、選挙で「県政の刷新」を訴えた。「権力の配分」を見直すのなら、「政治」のありようが問われる。

 もとよりコロナ禍でのかじ取りは、県民の命と健康を守る重大な責任を負う。地域医療を含めた「行政」が十分に機能しなかったのなら、それを全力で正すのも「政治」の役割だ。

 「誰も取り残さない大きな県政を」と斎藤氏は語る。「大きな県政」を支えるのは一人一人の県民であることを忘れないでほしい。阪神・淡路大震災の被災者支援で磨かれた「最後の一人まで」の理念を、兵庫の知事として深く胸に刻んでほしい。

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