日々小論

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 ロシア語の同時通訳者として国際会議や政治、ビジネスなどの現場で活躍した、作家の米原万里さん(1950~2006年)は著書の中で、通訳者を悩ませる発言の一つとして駄じゃれを挙げている。

 当人は自信満々でも、駄じゃれなどの言葉遊びは的確に通訳し得ないという。この春、タレントの容姿を侮辱する「オリンピッグ発言」で、この逸話を久しぶりに思い出した。

 もっとも、こちらは国際感覚の鈍さ以前の問題だった。ピッグは英語だから、世界に何かが伝わると思ったのか。

 コロナ禍に陥る前、東京五輪で個人的に最も楽しみにしていたのは開閉会式だった。企画、演出チームの中心に、振付師のMIKIKOさんがいたことが大きい。作品やアーティストにぴったりな振り付け、類を見ない先進的な空間演出など、彼女が表現する豊穣(ほうじょう)な世界観に魅了されてきたからだ。

 くだんの開閉会式プランを巡るゴタゴタの連続は、皆さんご存じの通りだ。コロナ禍とは関係なく、五輪憲章に反する差別的な視点、意識構造が意思決定の中枢にはびこっていることが浮き彫りになった。しかも「オリンピッグ発言」にみられるような驚くべき程度の低さで。

 東京五輪が開幕し、連日各国の代表選手が一流のパフォーマンスを見せてくれる。一方で、国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は急増している。

 多くの人の命と健康を危険にさらした点で、この国際イベントが挙行されたことの是非は問われ続けるだろう。

 同時に、五輪憲章にのっとった「平和の祭典」とはとても言えない状況に陥った背景、要因についても厳しい目を向け続けなければならないと思う。

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