日々小論

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 阪神タイガースの新人、佐藤輝明さんの少年時代の話だ。

 ホームランを打ったご褒美は回転ずしだった。「お金がかかる」と言いながら、うれしい。そんな思い出をお父さんがデイリースポーツに書いていた。クルクル回るコンベヤーが強打者を育てたかと思うと楽しい。

 今年の機械遺産の一つに、この回転ずし装置が選ばれた。歴史的な意義があると日本機械学会が認めた技術、それが機械遺産だ。

 大阪の元禄産業創業者が、ビールの製造ラインを見て思いついたそうだ。コーナーでも滑らかに回るよう工夫を重ねること10年、と何かで読んだ。日本の技が詰まった1号機のデビューが1958年だから、東京タワーと同い年である。

 今も営業しているか。北朝鮮に回転ずしの店ができたと5年前の紙面にある。いかにも日本らしい発明は海の向こうへ広がった。ご褒美でぱくつく姿は世界共通かもしれない。

 さて、五輪が終わり、パラリンピックが間もなく。いや、もう一つの五輪をお忘れなくと、この機会に書きとめる。

 通称、技能五輪。2年に1度、板金、大工、洋菓子など多彩な分野で世界が技を競う。今年は上海の予定だったが、コロナ禍で1年の延期となった。

 ものづくり大国・日本は金メダル数でいつも上位だったのに、最近は下降気味だ。現場力が衰えた、と嘆く声もある。1年余り先の五輪だが、出場する皆さんは、匠(たくみ)の代表として世界をうならせてほしい。

 機械遺産に選ばれたコンベヤーは85年製で、まだ現役だそうだ。滑らかに回りながら、大先輩はきっとつぶやいている。

 「がんばれ、がんばれ。金メダルのご褒美は…」

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