日々小論

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 幕末から明治、大正、昭和を駆け抜けた経済人、渋沢栄一。実はよく知らない彼の生涯を学んでみたいと見始めた、NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」にハマっている。

 五輪による中断で4週間ぶりとなった8月15日の放送で、胸を打つシーンがあった。

 「一人がうれしいのではなく、皆が幸せになる。一人一人の力で世を変えることができる。おかしれえ。これだ、俺が探し求めてきたのは、これだ!」

 滞在先のパリの証券取引所で「キャピタルソシアル(株式資本)」の仕組みを知った栄一は感極まった様子で叫ぶ。

 このころ、遠く離れた祖国日本では、15代将軍徳川慶喜が政権を朝廷に返上し、幕府は実権を失う。送金が途絶え、滞在費のやりくりに迫られた栄一は証券取引所を訪れる。幕府の金を公債に投資し、利益を得て費用を賄うことができたのだ。

 もし大政奉還がなければ、栄一が株式資本を学ぶ機会はなかったかもしれない。後に「日本資本主義の父」と称される偉業を成す栄一にとって、この窮地が重要な転機となった。

 維新後は新政府で働くが、野に下り、日本の近代化を「民の力」で支えた。関東大震災の復興にも奔走。当時、栄一は「逆境の時こそ力を尽くせ」と声を上げ、救済事業の資金を調達するために事業家約40人を集め、資金支援に乗りだしたという。

 先の見えない新型コロナウイルス禍に、多くの人たちが不安を抱えている。栄一なら、資金力や実行力がある経済人を結集し、格差の是正など危機突破に取り組むのではないか。

 事業を通じて国民や社会に貢献し、その結果として自らも利益を得る。没後90年。今こそ栄一に学ぶ時だ。

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