日々小論

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 今年の夏も、紙面を通じて多くの戦争体験談に接した。6月の沖縄・慰霊の日に始まり、8月の広島、長崎の原爆の日、終戦の日。最近になって初めて口を開いた人もいる。家族や友人の死に対し「自分だけ生き延びてしまった」と自責の念を吐露した言葉が、心に重く響いた。

 6年前に沖縄で取材した上原徹さんも、戦後70年を超えてようやく語り始めた人だった。防衛召集で少年警察官となり、16歳で戦場を経験する。住民の避難誘導で、梅雨の泥の中、砲弾に倒れる母子を目にした。

 長年、心の底にこびりついた場面を思い起こし、上原さんは「助けられなかった。戦争で真っ先に犠牲になるのは幼子と母親だ」と涙を流した。多感な少年にはつらかっただろう。

 沖縄戦を切り口に、平和について考えるオンライン討論会がこの夏休みに開かれた。神戸の兵庫高校と沖縄の那覇高校の2年生6人が参加した。かつての上原さんと同年代に当たる。

 兵庫高生は中学の修学旅行をきっかけに沖縄戦を学び始めたと話した。住民が避難した地下壕(ごう)に入った生徒もいた。戦争の学習について「怖いと感じた。残酷な面から目をそらしてしまいそうになる」と、本音を漏らす場面があった。

 中学や高校の授業で戦争を取り上げるとき、犠牲になった痛ましい遺体の映像などが、教材に使われることがある。

 だが那覇高校の男子生徒はこう話した。「悲惨な描写を見ると胸が痛い。でも、それは戦争の恐ろしさを知り、平和を考えるきっかけにもなる」

 「怖い」と感じることは、歴史に正面から向き合うことでもある。76年前の記憶を受け継ぐ力が、思春期の感受性から生まれてくることを期待したい。

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