日々小論

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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が続いている。兵庫県に発令されたのが8月20日だったから1カ月を超えた。4度目の宣言でもあり、もういい加減にしてほしいと感じている人も少なくないだろう。

 だがコロナの宣言とは別に、解除できないまま10年以上が過ぎた緊急事態宣言がある。覚えておられるだろうか。

 福島県内の原子力緊急事態宣言である。東電福島第1原発事故があった2011年3月11日の午後7時3分、当時の菅直人首相が原子力災害対策特別措置法に基づいて発令した。

 最初は原発から半径2キロ、続いて半径3キロ圏内の住民に避難が呼び掛けられた。事故の深刻化とともに翌日早朝、10キロ圏内が避難指示区域になり、夜には20キロ圏内に拡大した。

 そして今も、原発から西北方向の7市町村に放射線量の高い帰還困難区域が残る。面積約337平方キロメートル。ここに住民登録をしながら住むことができない人は約2万2千人に上る。

 区域を貫く国道6号は車で通行できる。だがその脇道には「この先帰還困難区域」の看板が立ち、物々しいバリケードが行く手をふさぐ。廃屋や荒れた農地が見え、心が痛む。

 先月末、政府は2020年代に避難指示を解除する基本方針を決めた。除染作業を進めるとともに生活基盤の整備などを行う。希望者全員が安心して帰還できるのなら望ましい。

 ただ、第1原発の原子炉には溶け落ちた核燃料(デブリ)がそのまま残る。廃炉は20~30年かかるとされ、100年以上が必要との専門家の見方もある。

 科学的な根拠によって原子力緊急事態が解除される日が来るまで、福島が宣言下にある事実は忘れずにいたい。

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