日々小論

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 3カ月も先の話だが、サンタクロースのことを書こう。

 米国にニューヨーク・サンという新聞社があった。1897年の今ごろ、9月21日付紙面に一風変わった社説を載せた。そのてんまつである。

 8歳の女の子から社へ手紙が届いた。「サンタクロースなんていない」と友だちが言う。「本当?」と。

 社説で返事を書くことになり、58歳の記者が担当した。

 「あなたのお友だちは、まちがっています」と書き始め、何でも疑ってしまう人は「目にみえることしか信じません」と続けた。そして

 「サンタクロースをみた人はいません。けれどもそれは、サンタクロースがいないというしょうめいにはならないのです」

 「この世の中に、愛や、人へのおもいやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです」

 「この世界でいちばんたしかなこと、それは、子どもの目にも、おとなの目にも、みえないものなのですから」

 以上、この社説の話を取り上げた児童書「サンタクロースっているんでしょうか?」(偕成社)から。手にした本は86刷。超ロングセラーである。

 読み返しながら、思う。

 いたわり、やさしさ、励まし。コロナ禍で大切にしたいことも、見えたり触ったりできるものではない、と。

 本の後書きによると、少女は後に教師になり、入院生活を送る子どもたちの公立学校で副校長を務めた。81歳で亡くなったとき、ニューヨーク・タイムズは訃報を載せたそうだ。

 「もっとも有名な社説が書かれるきっかけとなった、かつての少女」

 と書き添えて。

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