日々小論

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 将棋の藤井聡太三冠の魅力は強さばかりではない。例えば、9月13日に叡王戦に勝利し、歴代最年少で三冠を達成したときの会見でのことだ。「最年少記録は気にしていない」「自分の将棋にしっかり向き合っていきたい」。記者の質問に丁寧に応じる姿勢からは謙虚な人柄がにじみ出ていた。

 コロナ禍が長期化し、暗いニュースばかりが目に付くご時世にあって、この若者の活躍に勇気づけられている人も多いのではないか。筆者もその一人で、10代最後の9カ月余りでどこまで飛躍するか興味が尽きない。

 そんな天才棋士が対局中、たまに見せる特徴的なしぐさがある。脇息(きょうそく)(肘掛け)にもたれて苦しげに顔を伏せる不思議なポーズだ。師匠の杉本昌隆八段が著書「弟子・藤井聡太の学び方」(PHP研究所刊)で触れている、相手側から見た盤面をイメージする作業に集中していると思われる。発想転換のため、脳内はコンピューターのように高速回転しているのだろう。

 「イメージと読みの将棋観~スター棋士は盤上に何を思う」(日本将棋連盟刊)に、驚きのエピソードが紹介されている。幼稚園時代、難解な詰め将棋に取り組み「考えすぎて頭が割れそう」と口にしたそうだ。徹底的に思考を重ねるスタイルはこの頃から培われたに違いない。

 謙虚さの中の強さ。その秘密は桁外れの「考える力」にあると見た。存分に考え抜く姿勢は将棋の上達だけでなく、他者への理解にもつながる。だから勝ってもおごらず、てんぐにならない。そういえば、最近出た藤井三冠の対談本の書名は「考えて、考えて、考える」(講談社刊)だった。凡人があれこれ検討する手掛かりになりそうで、読むのが楽しみだ。

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