日々小論

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 その名を「天地会」という。1985年の日本一と87年の最下位、まさに「天国」と「地獄」を味わった阪神タイガースのOBらの集まりがある。

 今季、その阪神で天国と地獄を経験している選手がいる。

 ドラフト1位の佐藤輝明内野手だ。開幕から桁外れのパワーを見せつけ、前半戦終了時点で20本塁打を放ち、チームが首位を快走する原動力となった。

 しかし厳しいプロの世界、東京五輪による中断期間後は成績が急降下し、本塁打はおろかヒットすら打てなくなった。53打席だった野手のプロ野球連続無安打記録を大きく更新した。

 豪快なフルスイングが佐藤選手の魅力だが、その代償でもある三振の数は両リーグ断トツの1位。振らなければ何も起こらないが、打球が前に飛ばなければこれまた何も起こらない。

 どんな素晴らしいバッターでも「プロの壁」にぶち当たる。期待するのはファンのさが。されど応えるのは簡単ではない。それでも…と思わせる何かが、佐藤選手にはある。

 長距離砲にとってホームランと三振は紙一重。凡打にもひるまない強さも魅力だったが、それも影を潜め、技術以上に精神的な迷いが見てとれる。

 最近は、代打での出場やベンチを温める日も多くなった。それでも打席に立てば、ファンは大きな拍手を送る。勝ちながら育てるのは本当に難しい。それでも、ビュンと風を切る音がスタンドまで届きそうなフルスイングは変えないでほしい。

 もがき苦しむ姿に、16年ぶりの優勝を争うチームの苦闘がダブる。迷える怪物が復活の快音を響かせれば、ラストスパートに火がつく。その日はいつか。長い長いトンネルの先には、きっと天国がある。

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