日々小論

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 政治家の「けじめ」とは-。岸田文雄首相と立憲民主党の辻元清美副代表の国会論戦を聞いていて考えさせられた。

 辻元氏は、甘利明自民党幹事長の過去の現金授受問題を取り上げ、政治倫理審査会での説明を指示するよう首相に求めた。その際、自らが秘書給与不正受給問題で議員辞職し、衆院の参考人招致に応じた、19年前の経緯に触れたのだ。

 当時社民党の「疑惑追及のエース」として活躍していた辻元氏が一転、追及される側となった衝撃は大きかった。当初は疑惑を否定し、辞職会見で「もっと国会で質問したかった」と悔しさをにじませ、参考人招致で「自分が政治不信を深めてしまう立場になってしまった」と涙をこぼした姿は忘れられない。

 揺れ動く辻元氏を「政治家は刑事責任の有無とは別に政治責任を果たさねばならない」と諭したのが自民党の加藤紘一元幹事長だったという。加藤氏も同じ国会で元秘書の脱税事件で参考人招致に応じ、辞職した。

 辻元氏はその後、逮捕、起訴を経て2005年衆院選で国政復帰を果たす。「不明を恥じ、責任を自分で負ったからこそ、この場に再び立てている」。封印したいはずの“黒歴史”を引き合いに、説明責任を迫る言葉にはすごみがあった。だが岸田首相には響かなかったようだ。

 かつて自民党は、リクルート事件で中曽根康弘元首相、佐川急便事件で竹下登元首相らの証人喚問に応じた。翻ってこの10年近く、続出する身内の疑惑に臨む姿勢のなんと緩いことか。

 国会もけじめを促す力を失い、真相解明に乗り出す格好すらつけなくなった。誰も責任を負わず、国民がそれを異様と感じなくなる。それこそが「民主主義の危機」ではないか。

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