日々小論

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 神戸の高層ビルに上ると、大阪湾の向こうに金剛山から和泉山脈に続く山々が見える。そして秋晴れの日には、その背後に薄い水色の高峰が望める。

 パソコンで国土地理院の電子地図を検索し、画面上に線を引いてみると、奈良県の大峰山脈だろうと推測できた。はるか90キロ先という距離も瞬時に示される。便利なことこの上ない。

 地図のデジタル化には、実は阪神・淡路大震災が関係している。元国土地理院職員、宇根寛さんの著書「地図づくりの現在形」によると、災害復旧には地図データが必要との教訓から政府に省庁連絡会議が設置され、2007年に地理空間情報活用推進基本法が成立。地理院が電子国土基本図を整えた。

 民間会社が作製するカーナビなどの地図の多くは、このデータを基にしているという。

 地理院の電子地図は、地形の断面図にしたり高さを色分けしたりできるほか、距離や面積、標高の測定、立体表示なども可能で、幅広く活用できる。

 こうなると旧来の地図の出番は少なくなる。数年前、地理院の紙地図販売枚数が、ピークだった1981年の20分の1に激減したという記事があった。

 むべなるかなとは思いつつ、しかしどうしても紙の地図が手放せない。自宅には5万分の1などの地形図、20万分の1の地勢図が100枚以上ある。自転車旅行に携えた地図は走った道を赤く塗っていて、その風景が思い出される。土地の記憶が手触りとともに残っている。

 スマホの道案内に頼っていると、どこをどう歩いているか分からず地理感覚が失われる気がする。充電切れや通信障害のときには立ち往生してしまう。

 たまには紙の地図を手に、町や野山を歩いてみませんか。

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