日々小論

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 コンビニの店内で、比較的軽い認知症の人たちが制服にエプロン姿で働く。ただし接客はしない。担うのは商品の陳列などだ。1回1時間で、3回働くと系列店で使える千円分の商品券がもらえる。

 こんな光景が各地で生まれていると、しばらく前の本紙夕刊にあった。

 読みながら、「注文をまちがえる料理店」のことを思いだす。こうした取り組みの原型といっていいだろう。

 2017年、テレビディレクターだった小国士朗さんが考えた。期間限定の店で、接客や配膳を担うのが認知症のスタッフである。調理場には、企画に賛同したプロが立つ。

 違う料理が出てきたり、注文を忘れて聞きなおしたりすることもある。でもイライラする客はまずいない。だって看板が「注文をまちがえる-」だから。

 働くみなさんは、手ごたえを感じる。自分も頑張れる、役に立てると。客の側は、心がちょっと広くなる。小国さんは著書「注文をまちがえる料理店」でこう書いている。

 「ま、いいか。そんなあなたの一言が聞けたら」

 「おおらかな気分が日本中に広がることを心から願って」

 共鳴した動きがあちこちに起きているそうだ。3年前、西宮市では関学大の学生たちが3回開いている。京都では主婦らが何度も開店していると聞く。

 働く人や調理を引き受けてくれる人、理解のある店を探すのは大変だろう。企画に反発する人がいたかもしれない。

 でも、この超高齢社会である。周囲の支えを受けながら、可能な限り生きがいを求める。いいじゃないかと素直に思う。

 近くにできたら、ぜひドアを開けてみよう。

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