日々小論

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 コロナ下で需要の変化を機敏に捉え、新しい分野に参入する企業は少なくない。その中で特に「へえ」と興味を引かれたのが、明石に本社を置く土木用プラントメーカーの日工(にっこう)だ。

 アスファルトの生産設備を得意とする同社は今春、創業102年目にして「日本鉄具製作」というアウトドア用品のブランドを立ち上げた。加工技術を生かしてバーベキュー(BBQ)用の鉄板を売り出したところ、キャンプブームも相まって大人気に。鉄板を載せる鉄製の「たき火台」も評判を呼ぶ。

 お堅い響きのブランド名は、1919(大正8)年の創業時の社名「日本工具製作」にちなんでいる。

 ところで、日本工具製作を設立したのは、明治、大正期に日本最大の商社となった鈴木商店の「工事部」にいた社員たちだ。18(同7)年、米騒動で神戸の鈴木商店本店が焼き打ちされた際には、即座にバラックの事務所を建てた。

 「これから土木工事が盛んになる」と見た社員らは、シャベルやツルハシの工具メーカーとして、鈴木商店から分社化に近い形で独立した。創業して間もなく、幹部がスペイン風邪で急死する困難に見舞われながらも、事業を軌道に乗せた。

 それから1世紀。再び社会が感染症にほんろうされる中でアウトドア用品に着目したのは、一般の人に身近に感じてもらえる製品を世に出したい-という社員らの思いからだという。ブランドのマークには、創業時の会社のマークをアレンジしたものを採用した。

 予想以上の反響に、製品開発に熱が入っているとのこと。ほかにも、たくさんの「へえ」が詰まった企業の挑戦物語があるはず。ぜひ聞いてみたい。

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