日々小論

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 地球温暖化に関して「ティッピングポイント」という言葉をよく目にするようになった。温暖化の暴走が始まり、安定した気候には戻せなくなる分岐点が迫っているという警鐘だ。

 北極の氷や氷河の融解、豪雨や干ばつ、大規模な山火事が地球全体で頻発している。分岐点を超えると、そうした気候危機が一気に激化して世界の農業に打撃を与え、食料危機のスイッチを入れるとも言われている。

 日本の食の心配なニュースが流れてきた。一つは過去最低の37%となった食料自給率。もう一つは新米の2年連続の値下がり。前年より12%下がった。

 コメは言うまでもなく国産食品の中心だが、「もうコメを続けるのは限界」という稲作農家の声を聞いて、世界でも突出して低い自給率が、底が抜けたように下がりだすのではないかという不安を感じた。

 パンやパスタの原料である輸入小麦の高騰が示すように世界の食料需給は逼迫(ひっぱく)している。新型コロナウイルス禍で食料輸出を規制する国も出てきたが、政府も消費者も危機感が乏しい。

 先進国はみな、農業は安全保障の根幹で国土を守る産業として手厚く守っている。フランスや英国では農業所得の大半が公的助成で賄われている。

 日本は気候変動による水害のリスクが極めて高いと指摘されていることを考えれば、稲作が持つ国土保全の機能も重視した支援施策が必要ではないか。

 水田は下流の都市を洪水から守る“ダム”であり、土砂崩れなどを防ぐ。河川の護岸や砂防ダムなどとともに治水の一翼を担ってきた。気候危機の時代におけるコメ離れという消費者の食の選択は、貴重な防災力を手放しつつ食料危機を招くという危うさをはらんでいる。

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