日々小論

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 大阪・新世界のシンボルとして知られる通天閣が先日、開業65年を迎えた。人間ならシニアの仲間入りといったところか。

 1956(昭和31)年の完成後は多くの観光客を集めたものの、70年代に入場者が年間20万人を割るなど厳しい時代もあった。古い歓楽街だった新世界の評判も決してよくはなかった。

 しかし近年はイメージも明るく変わり、コロナ禍までは国内外から年間100万人以上が訪れる人気スポットになった。

 設計者は早稲田大教授も務めた建築家、内藤多仲(たちゅう)氏。「塔博士」とも呼ばれた耐震構造の権威だ。実は、通天閣の2年後にできた東京タワーも内藤氏の作品である。都会的で洗練された首都のランドマークと、庶民的で飾らない下町の顔をつくった人が同じというのが興味深い。

 大阪・あべのハルカス、東京スカイツリーといった新たな超高層建築も登場している。それでも、通天閣と東京タワーは存在感を失っていない。

 さて、神戸で塔と言えば、63年に生まれた神戸ポートタワーだ。別名「鉄塔の美女」。鼓のような曲線美と鮮やかな赤色が印象的で、港町を象徴する魅力がある。ビルのシルエットを描き、そこに細長い鼓の形を加えるだけで、誰もが神戸の街のイラストだと分かる。

 現在は大規模改修で休業しており、工事が完了する2年後には開業60年を迎える。

 ただ通天閣と対比するなら、往年の繁華街、湊川公園にあった神戸タワーの方がふさわしいだろうか。大正時代の24年に建てられ、68年に解体された。

 老朽化には勝てなかったようだが、もし残っていたらレトロな建築として人気が出たかもしれない。シンボルの力は大きいだけに残念な思いがする。

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