日々小論

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 ミナト神戸を行き交った神戸市電が1971年に廃止され、今年で50年がたった。

 緑色の濃淡のツートンカラーが特徴で、市民から「みどり」の愛称で親しまれた。半世紀を経た今も、譲渡先の広島電鉄では2両が現役だ。そして、意外な場所で「第二の人生」を過ごしている“仲間”がいる。

 市電の路線縮小が始まった68年から、50両以上の車両が市立須磨海づり公園の沖約1キロに沈められ、魚たちのすみか(漁礁)となって横たわっている。

 緑色の車体はもうさびてしまい見る影もないだろうが、ロマンを抱く人がいる。

 神戸市文化スポーツ局副局長の宮道成彦さん(56)は、84年の入庁時、交通局に配属された。職場には元運転士や女性車掌らがいて、「東洋一」と称された市電の魅力や思い出を誇らしげに語ってくれたという。

 水中写真家でもある宮道さんは「当時を知る人に海に沈んだ市電を見せてあげたい」と一念発起。地元漁協や水産会社の協力も得て撮影へ動き始めた。

 しかし、場所の特定は困難を極めた。漁師の間で「電車場」と呼ばれる海域がある。十数年前、第5管区海上保安本部が付近海底を調べ、細長い構造物を確認したが、断定には至らなかったという。潮の流れが速く、腐食や沈殿の可能性もある。宮道さんは10月2日、水深約25メートルへの潜水を決行したが、見つけることはできなかった。

 挑戦は続ける。「未来の神戸を考える上でも半世紀前に思いを寄せる意味はあるんです」

 折しも、3選した久元喜造市長が次世代型路面電車(LRT)導入への意欲を語った。何かが消え、何かが生まれる。いつだって、街はシーソー。夢とロマンは忘れずにいたい。

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