日々小論

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 映画で人気を博した魔法使いの少年ハリー・ポッターはおばの家に身を寄せるが、冷遇され、誕生日にもケーキがもらえない。見直すべきは、おば一家の冷たい仕打ちである。いくらケーキがあっても、ハリーは一切れももらえないのだから。

 ハリーのように分配から取り残された人にとって、ケーキの切り方を見直せるかどうかは、将来届くケーキのサイズアップ以上に切実な問題だ。

 政治でも「分配」が与野党間の論点になってきた。

 資本主義社会では、経済活動や資産運用が生み出す「富」は富裕層などに偏る。分配は格差問題と裏表の関係と言える。

 所信表明演説で、岸田文雄首相は「成長と分配の好循環」を目指すと強調した。「分配なくして次の成長なし」とも述べた。これまでの経済政策が「富めるものと富まざるものとの深刻な分断を生んだ」との批判を事実上、認めたことになる。

 ただ、その後は「まず成長を目指すことが極めて重要」などとトーンを変えた。「成長なくして分配できるとは思えない」とその理由を語っている。

 しかし日本の場合、社会的弱者を救うはずの税制や社会保障の「逆機能」の問題が専門家から指摘されてきた。所得が低く公的な制度の支援を受けているのに、税や社会保険料などの負担はより重くなる。だとすれば、そもそもの仕組みに問題があるということになる。

 国会では、所得や収益をあるべき形に「再分配」し直す税負担と社会保障の役割をぜひ議論してほしい。一時的な支給でなく、恒久的なものとして。

 いま「深刻な分断」の根源を絶たないと、首相が語る「絆の力」を発揮する社会の実現は絵に描いたケーキになるだろう。

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