日々小論

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 裁判員裁判で、被告の最高齢は97歳という。検事に恨みがあり、地検のトイレに火を付けたという事件だ。車いすで入廷したそうだ。

 超高齢社会の断面だろう。被告の年齢が気になるようになった。長い人生と事件がどう絡まっているか、知りたくなる。

 目を移して、ドイツ。この国から伝わる高齢者の裁判には、長い人生に歴史の陰影が絡まる。最近では「被告は100歳」という記事に目がとまった。

 第2次大戦中、ナチス・ドイツの強制収容所で監視塔に配置されていた元看守が被告だ。収容所では2万人以上が命を落とした。ナチス親衛隊員だったという被告は弁護人を通じ、当時の出来事を証言するつもりはないと告げている。

 ドイツといえば、96歳の女性が公判当日に逃げて拘束される騒ぎも先々月にあった。被告席についた彼女は、強制収容所で所長付の速記タイピスト兼秘書をしていた。

 「ドイツは過去とどう向き合ってきたか」(熊谷徹著)によれば、西ドイツ時代、ナチス関連の犯罪に時効はなくなった。戦犯はどこまでも追いかける。

 さらに10年前から、看守などにも殺人ほう助罪が適用される。100歳であろうと96歳であろうと罪を問う。この2人のように。

 忌まわしい過去を悔い、繰り返すまいとの国の決意。なんと固く、なんと厳しいことかと感じ入る。

 大量虐殺で亡くなったユダヤ人の追悼施設は、首都ベルリンのど真ん中にある。日本でいえば銀座4丁目か有楽町、永田町、と熊谷さんは書く。強いてそんな場所を選び、ドイツは自国の過去を見つめてきた。

 では私たちはどうだったか。

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