日々小論

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 スティーブン・スピルバーグ監督の新作映画「ウエスト・サイド・ストーリー」が今月、全米で公開される。日本での上映は来年2月に延期された。

 1961年に封切られたミュージカル映画の傑作「ウエスト・サイド物語」のリメーク作品だ。60年前にヒロイン・マリアの兄ベルナルドの恋人を好演したリタ・モレノが、別の役で再びスクリーンに登場する。

 旧作の冒頭、ニューヨークの街角でのダンスシーンは印象的だった。当時建設中の複合文化拠点・リンカーンセンターの周辺で、再開発が進む古い街区を使って撮影されたという。

 劇場や大学などが集まるこのセンターを手がけたのは、ロバート・モーゼス(1888~1981年)。ニューヨーク市や州の公園局長、道路公社の総裁などを歴任した人物である。数々の公園や高速道路、橋梁、高層住宅などを建設した。

 「評伝ロバート・モーゼス」の著者渡辺泰彦さんは「ニューヨークの繁栄を支える都市インフラの充実はモーゼスなしには語れない」と書く。ところが後世の評価は厳しい。マンハッタンを横断する自動車道計画やスラムの撤去で強い反発を受けたからだ。市民らは心地よいコミュニティーを守ろうとした。

 再開発と環境の保護はどちらも欠かせない。渡辺さんは「経済や効率を優先するのか、町の風情の保全、あるいは活性化に光をあてるのか、このバランスは個々のケースによって違う」と指摘する。その通りだろう。

 ただ、今もニューヨークの通りを歩けば、映画のイメージそのままに、外階段の付いた昔の建物がいくらでもある。日本の都市はどうか。あまりにも「経済や効率」に偏って成長させてきたようにしか見えない。

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