日々小論

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 2021年にうれしかった出来事の一つが、1月の核兵器禁止条約の発効だった。被爆者の後押しもあって、核兵器の存在そのものを否定した初の国際法がついに動きだし、感慨がこみ上げたのを思い出す。

 それから1年近くがたち、57カ国が批准の手続きを終えた。それとは別に、来年3月の第1回締約国会議へのオブザーバー参加を表明する国も現れている。最近では、日本と同様、米国の「核の傘」に依存するノルウェーやドイツも名乗りを上げ、ニュースになった。

 条約への賛同が着実に広がっていることを実感する。

 一方で残念なことの一つは、「非核三原則」を国是とする日本政府が条約に背を向け続ける姿勢だ。米国に配慮しているのか、この秋に就任した岸田文雄首相の対応も、これまでの政権との違いは見えなかった。

 1年を締めくくる前に、声を大にして言いたい。76年前に広島、長崎の惨禍を経験したこの国は、条約に率先して加盟する立場にあるはずだ。締約国会議まで不参加とするなら、被爆国としての責任放棄に等しい。

 ただ、岸田首相はきのうの衆院予算委員会で、早期開催を模索する日米首脳会談の際に、オブザーバー参加について議題にする可能性を示唆した。半歩前進と受け止めたい。

 「日本が条約に加われば、世界全体に大きな波及効果をもたらし、核保有国さえ動かします。広島選出の総理大臣が決断せずに、いったい他に誰がするのでしょうか」。カナダ在住の被爆者サーロー節子さんが岸田首相に送った手紙の文面である。

 「核軍縮がライフワーク」というのが本当なら、岸田首相には腹をくくって大きな一歩を踏み出してもらいたい。

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