日々小論

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 本紙の名物コーナー「イイミミ」で、このところ盛り上がっている話題がある。「息子を育ててもあほらしい」と70歳女性が嘆いたのを呼び水に、60~80代の読者から共感や異論、励ましが寄せられているのだ。

 40代の息子が3人いるという件(くだん)の女性は、娘を持つ同世代がうらやましいという。長寿を祝ってもらったり、互いの家を行き来したりしているのは、多くが娘家族のいる人で、自分の息子からは連絡もないとのこと。「一生懸命働いて学費を稼いで学校へやり(略)、頑張って育てたのに、あほらしいて。情けのうて」と語っている。

 即座に反応したのは女性たち。「まったく同感」「自分にも息子がいるが、あほらしいと思ったことはない」「息子さんだって心の中で大切に思っているはず。自分の人生を楽しんで」。少ないけれど、男性からも。「今はいない両親の息子として耳が痛い。確かに親の誕生日も知りません」

 読みながら、実家にろくに連絡もしない親不孝な娘であるわが身を振り返り、「ごめんなさい」と口に出しそうになった。そして、ふと「オレオレ詐欺」のことを思った。

 息子を装った電話で「株で失敗して金がいる」などと言われたら、たいていの人は動転するだろう。同時に、「困ったときに自分を頼ってきてくれた」と心のどこかでうれしさを感じる人もいるんじゃないか、普段の寂しさが強いほど、子どもの役に立ちたいと気がせいてしまうのでは…。いや、あくまで想像だけれども。

 「あほらしいて。情けのうて」という女性の言葉からは、得も言われぬ寂寥(せきりょう)感が伝わってくる。年末年始には久しぶりに親とゆっくり話をしよう。

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