日々小論

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 「現場を担う人たちは真面目で優秀だが、幹部の質はいまひとつ」。日本社会の特質について、よくそう指摘される。

 例えば、ノモンハン事件で日本軍と戦ったソ連の将軍は次のように語ったそうだ。

 「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」。作家の半藤一利さんが著書「ノモンハンの夏」で紹介している。

 粗末な装備で押し寄せる敵の戦車群と対峙(たいじ)する。兵士はガソリンを詰めた瓶を手に肉弾戦を重ねた。参謀たちの甘い見通しのせいで約2万人が死傷した。だが、責任を取らされたのは一線の連隊長らだった。

 詰め腹を切らされるのはいつも現場の担当者。同じようなことは今も繰り返されている。

 森友学園への国有地払い下げを巡る決裁文書改ざんでも、主導した幹部は誰も罪に問われず、作業を強いられた職員が自分を追い詰めて命を絶った。

 この人は、経緯をまとめた貴重なファイルを残していた。記録の作成は事務をこなす公務員の基本動作。その潔癖さのおかげで、私たちは闇の深さをうかがい知ることができる。

 ところが、この職員の妻が国と上司に賠償を求めた裁判が突然終結した。「賠償に応じない」と争っていた国が「金を支払って終わりにしたい」と態度を一変させたからだ。

 真実を明らかにし、責任を取るのが、上に立つ者の対応だろう。このような責任逃れとご都合主義を続ければ、現場の士気も低下しかねない。

 国土交通省でも現場や自治体の職員が統計の書き換えをさせられていた。「もうやってられない」という悲鳴が、あちこちの現場で漏れていないか。

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