日々小論

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 NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の楽しみの一つが、絶妙なキャスティングである。

 「おかあさんといっしょ」で体操のお兄さんだった小林よしひささんは溌剌(はつらつ)とした演技が印象的だった。声だけで出演したさだまさしさんの心温まる言葉に癒やされた人も多いだろう。

 ディスクジョッキーのロバート・ハリスさんもラジオ英語講座の講師役で声の出演をして、会員制交流サイト(SNS)などで話題になった。17年前に逝去した父親のJ・B・ハリスさんの設定だったからだ。

 息子が演じた講師役の声は父親によく似ていた。まさに「究極の配役」だったと言える。

 J・B・ハリスさんは、若い人にはなじみがないかもしれない。民放のラジオ番組「大学受験ラジオ講座」の英語講師を1995年まで43年間務め、独特の語り口で人気があった。

 筆者も受験生だった35年ほど前、リスナーとしてお世話になった。ドラマを見て懐かしくなり、J・B・ハリスさんの経歴について調べてみた。

 英国人の父と日本人の母の間に神戸で生まれている。横浜育ちで、16歳で父を亡くした後、日本国籍を取得し、母方の姓を名乗って「平柳秀夫」となる。戦時は徴兵され、中国の前線へ赴いた。戦後、現地の捕虜収容所で教室を開いたのが英語教育の原点だったらしい。

 知らなかった。青い目の外見をしているのに、なぜこんなに日本語が上手なのだろうと思っていた。

 戦争中は日英両国のはざまで葛藤を抱えていただろう。言葉の端々ににじみ出ていた優しさの理由が分かったような気がする。「今ごろ?」と雲の上で苦笑いされているに違いない。

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