日々小論

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 ミサイルや砲弾だけでなく、人の命も日々消耗する。戦争ほど理不尽なものはない。

 学校や病院まで攻撃にさらされているウクライナでは、民間人の犠牲が後を絶たない。一方のロシア側も、死亡する兵士は決して少なくないようだ。

 ロシア国防省は自軍の死者を498人(2日現在)としている。これに対して米情報機関は2千から4千人と分析する。ウクライナ側の見立ては1万2千人。英タイムズ紙によると、ロシアの情報機関も戦死者が1万人規模に達している可能性を内部文書で指摘している。

 侵略側もかなりの人的損害を被っているのは間違いない。

 亡くなる兵士の大半は、前途のある若者たちである。一人一人に名前があり、将来に夢を描いていただろう。見守る家族や友人、知人もいたはずだ。

 「訓練」と聞かされて動員されたロシア兵もいるという。道に迷った兵士を現地住民が助ける動画が拡散されている。

 お茶と食べ物をもらったロシアの青年は、住民の女性が差し出すスマホの画面で母国の母親と対面する。案じる母親に、女性は「心配しないで。彼は元気ですよ」と語り掛ける。

 「兄弟民族」のいたわり合いが非情な殺りくを止める力になればと願うが、多くの兵士は疑問や戸惑いの言葉を残すこともなく倒れていく。それが戦場の無慈悲な現実なのだろう。

 「戦死やあわれ/兵隊の死ぬるやあわれ/とおい他国で/ひょんと死ぬるや/だまって/だれもいないところで」

 先の大戦で戦死した詩人、竹内浩三の遺作「骨のうたう」が胸に突き刺さる。いつの世も命を投げ出せ、闘えと命じる指導者らの罪が最も重くて深い。

 兵士やあわれ、である。

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